
ひとり地上に残されていた主人公・フォスフォフィライトのもとに、人間を祖とする月人たちがやってきた。
フォスは祈り、月人たちは無に帰したとされる。
さらに途方もない年月が過ぎたのち、フォスは新たな岩石生命体と出会い、対話することによって幸福を感じるようになるがーー。
強くてもろくて美しい、宝石たちの物語、完結巻。
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ひとり地上に残されていた主人公・フォスフォフィライトのもとに、人間を祖とする月人たちがやってきた。
フォスは祈り、月人たちは無に帰したとされる。
さらに途方もない年月が過ぎたのち、フォスは新たな岩石生命体と出会い、対話することによって幸福を感じるようになるがーー。
強くてもろくて美しい、宝石たちの物語、完結巻。
コメント
全13巻。
完結済みです。
正直絵柄が個人的な好みから外れていたのでどうかな…と思っていたのですが(本当すみません)、
テーマがどうしても気になり、結局手を出してしまった
舞台設定は、
地球では人間や主だった生物が死滅している遠い未来。
人間の代わりに宝石の身体を持つ人間のような形の生命体が28人、
それらを束ねる「先生」と呼ばれる僧侶のような格好の男、
その宝石たちをを何らかの意図を持って攫って行こうとする、月からの来襲者である月人とのバトルが繰り広げられます。
読了して思ったことは、
主人公は宝石人なので主人公サイドでのストーリー展開がメインだけれども、
深刻で切羽詰まった精神状態なのは圧倒的に月人の方で、テーマ的に重い部分が多いのは月サイドだったなぁ、ということ。
このテーマで13巻でまとめるのは結構キツキツで、
こんなに駆け足なのは出版社の都合があったんじゃないかと勘繰ってしまうほどでした。
あと、宝石人は完全なる不死とまではいかないものの、
負傷してもある程度の再生は可能なので、
生命に対する価値観が読み手のこちらとだいぶ乖離している点や、
持ち合わせている感情が繊細でない分、
キャラに感情移入できるまでに多少時間がかかりました。
でも、こういう命を持って生まれてきた生命というのは、
生きている期間が長すぎるがために「生」の価値が薄くなってしまうのも当然で、ある意味仕方のないことかもしれません。
月人においては宝石人よりも遥か昔から存在し、こちらもほぼ不死であるため、
描写はささっと済まされてしまっていますが、
それでも垣間見えるどうしようもない閉塞感と倦怠感。
解放され無に還りたい、それだけを拠り所に、
能天気そうな日常を送りつつも心の奥に仕舞い込んで目を逸らしていた、この必死の想いが同情すべきものであり、哀れでもありました。
個人的には月人サイドのストーリーが提供されているものの5倍はあっても良かったかな、と思います。
あまりにも重いテーマを抱えているのに、これだけの描写では材料不足で、作品としては非常にもったいない、と感じました。
結末としてはハッピーエンドなのかバッドエンドなのか、受け手の価値観によってどちらとも取れるかと思います。
私としてはバッドエンド寄りです。
主人公は再生過程で他の鉱物を取り込んで混ざり物になっていくうちに、結局オリジナルの人格や思考がどんどんなくなっていくし、
一番心を通わせたかった相手には拒絶され、
全員がいなくなった地球に何万年も孤独に耐えなければならず、
地球消滅とともに彼も消滅していくその瞬間に、
彼に寄り添ってくれるべき相手が誰もいないというのはあまりに可哀想すぎました。
せめて幻でもいいから誰かに迎えにきて欲しかった。
これは主人公の晩年(?)に出てくるポッと出のキャラたちではあまりに役割不足で、
「先生」の兄が多少良い仕事してますが、
そもそもこの「兄」はそれまでほとんど登場してきていないので、急にこういう良い事されてもなかなか感情が追いつかなかったです。
あと、バトルシーンが多いのですが、
擬音が少ないせいか、とても静かというか、スローで見ているような錯覚を覚えました。
それはそれで味があり、こういう描き方もあるのかーと新たな発見ではありましたが、
そもそもキャラの顔のパーツの描きわけが私には区別がつきにくく、これ誰だっけ?となることが多かったようにも思います。
とはいえ、テーマとしては秀逸で、スピンオフが出たらかなり奥深いものになるのではないかと。
前述のように、テーマが壮大なわりにストーリーが短いので、
それを基にしつつ自分で脳内補完で楽しめる、という側面はかなりありそうです。
それを始めから意図して作られた作品であったとするなれば、これはもうものすごい作品であると思います。
リアルタイムでも読んでたので単行本はスラスラ読めると思ってたのに…与えられる感情がドデカすぎて処理できなくなってしまった
フォスは幸せだったのかなぁ
そうであってほしいな
コミックの終わりがこんなに寂しいなんて。
星の寿命が尽きる日まで、永過ぎる余生が孤独じゃなくて良かった。
人類の終焉から新たな生命体の誕生、星を渡る播種船。
壮大な物語でした。